『江島縁起』に登場の五頭龍は天女との約束を守ります。
日照りが続くと雨を降らせ、実りの秋には台風をはね返し、津波が来ると波に当たって押し返し、村人たちに感謝されます。
しかし五頭龍の体は、そのたびに衰えていき、やがて尽きます。

江の島の向いにある「龍ノ口(たつのくち)」には龍形の岩があり、南を向き、江の島の天女を守っているようです。

龍口寺(りゅうこうじ)
藤沢市 片瀬3-13-37

江ノ島電鉄「江ノ島」駅下車徒歩3分
湘南モノレール「湘南江の島」駅下車徒歩3分

龍口寺の大本堂
龍口寺の大本堂

 

 

日蓮上人「龍ノ口の法難」刑場旧跡

旧跡の南無妙法蓮華経のお題目
旧跡の南無妙法蓮華経のお題目

「龍ノ口」は日蓮が文永8年(1271)9月12日の夜に、鎌倉幕府の命令で処刑されそうになった旧跡(龍口寺門前左側にあります)です。
この時、日蓮が法華経のお題目を唱え始めると大勢の信者も一緒になってお題目を唱えました。
首切り役人が刀を振り上げると不思議にも江の島の方から玉のような光りものが飛んできます。
役人は目がくらみ、畏れおののき逃げ出すと、幕府は処刑を中止し日蓮を佐渡へ流刑とします。

今年はこの法難から750年目になります。

 

日蓮刑場跡に建てられた龍口寺

県下唯一の木造五重塔
県下唯一の木造五重塔

佐渡に流刑の日蓮は赦免され鎌倉に戻り、後に身延山に入り、そして武蔵国池上で入滅。
日蓮の弟子の日法が、室町時代初期にこの法難を後世に残すために日蓮像を安置し草庵を開いたのが日蓮宗寺院・龍口寺の始まりです。

江戸時代初期には鎌倉の津村の信徒の島村采女(うねめ)が土地を寄進し、明治時代には五重塔が創建され現在に至っています。

 

落語「鰍沢(かじかざわ)」

旅人が身延山の参詣後に鰍沢(現在の山梨県富士川町)の家に宿を頼む。
家主の女・お熊は旅人に毒入酒を飲ませて外出。
旅人は疲れと酔いで横になる。
そこへお熊の夫が帰り残りの酒を飲み苦しむ。
帰宅したお熊は夫に「毒入酒で殺し金を奪う狙いだった」と言う。
それを聞いた旅人は毒が回った体で逃げ、身延山の「毒消しの護符」を飲むと治る。
雪崩が起こり旅人は崖下の筏(いかだ)の上に落ちる。
筏は流れ出し綱が切れてバラバラに。
旅人は筏の1本の材木につかまりお題目を唱えながら川を流れ行き窮地を脱す。

旅人「難を逃れたのは日蓮様のご利益。
   おザイモク(=お題目)で助かった」

 

 

かん治さん

「鎌倉検定は1級で
 お酒は2級を飲んでいまして、
 プレゼントをいただきますと喜んでサンキュウと言っています」
がお決まりの自己紹介。
「鎌倉ガイド」としても活躍する湘南通のアマチュア落語家。