延台寺は虎女(とらじょ)/虎御前が開いたお寺です。
同寺の法虎庵に霊石「虎御石(とらごいし)」が祀(まつ)られています。
昔、大磯の長者夫婦は子宝に恵まれず「虎池弁財天」に祈願。
すると夢枕に弁財天が現れ、目覚めると枕元に小さい石がありました。
長者はこの石を日夜祈ると、寅の日の寅の刻に女の子を授かったので「虎女」と名付けます。
石は虎女の成長と共に大きくなります。

延台寺の法虎庵
延台寺
大磯町大磯1054
JR大磯駅から徒歩5分

 

曽我兄弟の兄を救った「虎御石」

石は「虎御石」と名付けられました

刀・矢きずのあとが残る虎御石

虎女は舞の名手として成長し曽我兄弟の兄・十郎祐成と結ばれ、十郎は虎女のいる大磯に通います。
そのうちに、父親の仇(かたき)の工藤祐経は曽我兄弟のあだ討ちに気付き刺客を差し向けます。
刺客は十郎めがけて矢を射、刀で斬りつけますが跳ね返されます。
「虎御石」が十郎の身代わりとなったのです。

 

曽我兄弟像が法虎庵に祀られています

曽我兄弟の祖父は前回紹介の伊東祐親です

法虎庵に祀られている曽我兄弟像

祐親の子の河津三郎祐泰は、工藤祐経(祐親の娘婿)に殺害され、祐泰の子の十郎と五郎は母の再嫁先の曽我姓を名乗り成長します。
後に源頼朝の富士の巻狩りの折に曽我兄弟は工藤祐経を討ち、見事に父親のあた討ちを果たします。

 

落語「花見の仇討」

春には延台寺境内の桜の大樹が見事に咲きます。
長屋の4人組が花見の中で見物人を驚かそうと、あだ討ちを計画。
桜の下で敵役の金さんに、巡礼兄弟役のよしさんと吉さんが来てあだ討ちの立ち回りをする。
大勢の見物人が集まったところへ、六部(巡礼僧のこと)姿の「六さん」が現れて、止めに入って楽しむ予定。
しかし、六さんは三味線を借りに行った先の叔父さんと酒を飲み過ぎて寝てしまい現れない。
困った3人が逃げようとすると助太刀を買って出た侍が「勝負は五分、五分だ」と言いあだ討ちを勧めるが、巡礼役が「肝心の六部が見えねえ」

 

かん治さん

「鎌倉検定は1級で お酒は2級を飲んでいまして、プレゼントをいただきますと喜んでサンキュウと言っています」がお決まりの自己紹介。
「鎌倉ガイド」としても活躍する湘南通のアマチュア落語家。