3月3日。女の子の健やかな成長を願う日。
ひなあられ、ひし餅、ちらし寿司が定番でしょう。
色を引き立てるのは桜でんぶ。
原料はタラなど白身の魚。
皮と骨を除いてゆでます。
身をほぐした後、食紅を加えて弱火で軽くいります。
ホロホロの桜でんぶが出来上がり。

赤身魚や青魚じゃあ、こうはいかない。
加熱すると身が硬くなる。
カツオ節、サバ節、イワシ節のように。
筋肉の組成の違いによるものです。
ヒトの場合も短距離向きの白筋、長距離向きの赤筋なんて言いますよね。

ところで、桃の節句は女の子だけをお祝いする日なのでしょうか? 
だって、今は男性、女性というジェンダーに関係なく能力を生かしていけるジェンダー・フリーの考え方です。
3月8日には、国連が定めた女性の自由と平等を求める活動のための日「国際女性デー」もあります。

そもそも節句(せっく)とは節目の日のこと。
月の数と日にちの数が重なる重日(じゅうにち)のうち、奇数月のもの。
1月1日は人日(じんじつ)、3月3日は上巳(じょうし)、5月5日は端午(たんご)、7月7日は七夕(たなばた)、9月9日は重陽(ちょうよう)の五節句。
前の節で身についた穢(けがれ)を人形に吹きかけ、身を祓(はら)っていたとか。


3月3日は、その人形を川に流す「雛(ひな)流し」を行っていた。
もとは男女の区別なく家族全員の健康を願っての行事だったのですね。

参考資料
神埼宣武、「旬」の日本文化、角川ソフィア文庫 

 

151223-文教広報誌BP顔写真

笠岡誠一(かさおか・せいいち)

1967年、広島県生まれ。
文教大学健康栄養学部教授。
管理栄養士。
食品栄養学修士(東京農業大学)。
博士(農学)(愛媛大学)。


山之内製薬(現・アステラス製薬)健康科学研究所研究員、アメリカ国立衛生研究所(NIH)客員研究員を経て現職。専門分野は栄養学、食品化学。レジスタントスターチに早くから注目し、レジスタントスターチを増やした「ハイレジ食」の開発なども行う。小説「きみのハラール、ぼくのハラール」や映画制作「CHO-KATSU」など、多分野で活躍中。