◎2022年7月23日号〜食のトビラ〜

一日に約2.5Lの水が体から出て行く。そのうち汗は約1L。食事以外で飲む水の量、約1Lとほぼ同じ。

汗の塩分を0.3%とすれば、一日約3gが排泄(せつ)される。その分、塩分摂取を増やすべきか?

無理する必要ありません。普段の食事に充分に含まれているから。
塩分摂取の世界基準は一日約5g。日本の現状は約10gの摂取。
もっと減らして7gほどに抑えることが推奨されている。

血液中で濃くなりすぎた塩分を薄めようと、血液中の水分量が増え血管を圧迫する力が増すから。これが高血圧。

しょっぱいものはおいしい。なぜか?

海中に住む魚に始まり両生類、陸上動物そして人間へと進化したとの考えがある。
海中には、生命維持に必要な塩分がたっぷりあるが、陸上では積極的に摂取する必要がある。そこで、塩分をおいしく感じるようになったとか。

摂取した塩分(ナトリウム)は血液を流れ細胞に行き渡り最終的に原尿(尿の元)になる。
そのまま排泄するとナトリウムも出てしまう。
「それはもったいない」と、原尿からナトリウムを再吸収する仕組みが腎臓にはある。

一方、血圧を上げないためにナトリウムの再吸収をブロックするのがカリウム。カリウムの多い野菜を食べよう、と言われる理由。

市販の塩がナトリウムだけとは限らない。カリウム、カルシウム、マグネシウムを含むものもある。商品の裏側の表示を良く見て選びましょう。

 (文:笠岡誠一)


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笠岡誠一(かさおか・せいいち)

1967年、広島県生まれ。
文教大学健康栄養学部教授。
管理栄養士。
食品栄養学修士(東京農業大学)。
博士(農学)(愛媛大学)。

山之内製薬(現・アステラス製薬)健康科学研究所研究員、アメリカ国立衛生研究所(NIH)客員研究員を経て現職。専門分野は栄養学、食品化学。レジスタントスターチに早くから注目し、レジスタントスターチを増やした「ハイレジ食」の開発なども行う。小説「きみのハラール、ぼくのハラール」や映画制作「CHO-KATSU」など、多分野で活躍中。