電子レンジの国産第一号は1961(昭和36)年、サラリーマンの初任給の30倍の値段だった。

家庭用の販売開始は1965(昭和40)年。

普及率が90%を超えたのは1995年頃。

エアコンの普及率が80%ほどの時。

今では一家に一台、なくてはならない存在。

長距離通信レーザーの研究者がポケットの中を見ると、チョコレートが溶けていた。

これが調理器具への応用につながったとか。

科学技術(テクノロジー)が食(フード)を変えるフードテックの代表例。

 

竈(かまど)が電気炊飯器になり、ガスコンロがIHヒーターになり、餅つき機や製パン機まで当たり前。

有名店のシェフの技術(温度、焼き時間、裏返すタイミングなど)を忠実に再現できるフライパンも登場。

 

真空調理をご存じでしょうか。

軽く下処理した食材と調味料を袋に入れて真空パックに。

その後、冷凍保存。

食べる前に湯煎で加熱するだけ。

酸化しにくいだけではない。

調味液が染み込みやすい。

パサつきにくく、ビタミン類の減少も抑えられる。

すでに皆さんも食べているはず。

ファミリーレストランなどで導入が進んでいます。

 

フードテックで一番有難いのは食洗器かもしれません。

欲を言うなら、食後の食器下げ、水でのすすぎ、食洗器への投入、洗浄後の食器を食器棚に戻す、を自動で行ってくれる「フード”後”テック」の登場が待ち遠しいです。

 

参考図書:食を支えるキッチングッズ(肥後温子著、建帛社)

151223-文教広報誌BP顔写真

笠岡誠一(かさおか・せいいち)

1967年、広島県生まれ。
文教大学健康栄養学部教授。
管理栄養士。
食品栄養学修士(東京農業大学)。
博士(農学)(愛媛大学)。

山之内製薬(現・アステラス製薬)健康科学研究所研究員、アメリカ国立衛生研究所(NIH)客員研究員を経て現職。専門分野は栄養学、食品化学。レジスタントスターチに早くから注目し、レジスタントスターチを増やした「ハイレジ食」の開発なども行う。小説「きみのハラール、ぼくのハラール」や映画制作「CHO-KATSU」など、多分野で活躍中。