端午の節句の定番はチマキ。

もち米を笹の葉や竹の皮に包み蒸したもの。

包まず蒸すとオコワ。

もち米のデンプンはアミロペクチンでできている。

だから水を吸いやすい。

普通に炊くと下の方では水を吸い、上の方では吸う水が少なく上下の差が出来てしまう。

だから蒸すことが好まれる。

アミロペクチンだから粘りも強く固くなりにくいのも特長。

もち米から作る白玉粉は粘りが出やすい。

粉の中心にまで水を染み込ませるには、お湯ではなく水でこねるべし。

他方、うるち米から作る上新粉。

アミロペクチンが少ないし、当然ながらグルテンを含まない。

熱湯でしっかり粘りを出すのが大事。

もともとチマキは、イネ科の植物の一種チガヤ(茅萱)の葉で包んで蒸したものだった。

だからチマキ。

チガヤは特別な植物だった。

魔除けだったらしい。

今でも、「茅(ち)の輪くぐり」をしたり、小さな茅の輪を玄関口にとりつけて邪気を払ったりしている。

昔は茅ヶ崎の周辺は沼地で、チガヤやアシが生い茂っていたらしい。

茅萱の生い茂るみさき(崎、御崎、岬)だから、茅ヶ崎という名前に定着したとか(参照:茅ヶ崎市HP)。

せっか茅ヶ崎に住んでいるなら、チガヤ(茅萱)の葉で包んで昔ながらのチマキをつくるのもありかも。

参考図書:「旬」の日本文化(神崎宣武著、角川ソフィア文庫)

151223-文教広報誌BP顔写真

笠岡誠一(かさおか・せいいち)

1967年、広島県生まれ。
文教大学健康栄養学部教授。
管理栄養士。
食品栄養学修士(東京農業大学)。
博士(農学)(愛媛大学)。

山之内製薬(現・アステラス製薬)健康科学研究所研究員、アメリカ国立衛生研究所(NIH)客員研究員を経て現職。専門分野は栄養学、食品化学。レジスタントスターチに早くから注目し、レジスタントスターチを増やした「ハイレジ食」の開発なども行う。小説「きみのハラール、ぼくのハラール」や映画制作「CHO-KATSU」など、多分野で活躍中。