2022年7月23日号 身近な法律相談「こんな時 どうする?」

お悩み(逗子市 Wさんより)
賃貸アパートから退去することになりました。

大家さんからフローリングの補修費用を払ってくれと見積書を渡されたのですが、目立つ傷はないので納得いきません。

払わなくてはならないのでしょうか?

通常使用の範囲内の傷かどうかが判断ポイント
国交省が策定する「ガイドライン」を参考に

原状回復をめぐるトラブルですね。

民法では賃借人に、賃借物に生じた損害を原状回復させる義務を課していますが、通常の使用によって生じた損害や経年変化は除く(621条)とされていますので、原状回復とは、「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損(きそん)を復旧すること」と考えられています。

建物の価値というものは、時の経過によって自然に減少していくものなので、借りた当時の状態に完全に戻して返すということは、そもそも不可能、という考えが最初にあるわけです。

よって、フローリングに付いた傷が、故意に付けた傷等「通常の使用」を超えるような使用により付いたものかどうかが判断のポイントになります。通常使用の範囲内であれば、賃借人に費用負担義務はありません。

国交省は、「現状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を策定し公表していますので、大家さんと話し合う前に一読し、ご参考になさるといいと思います。

 

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