海蔵寺(扇ガ谷)の薬師堂(仏殿)は安永5年(1776)に浄智寺から移築されています。
中央に薬師三尊像がまつられ、その後ろに十二神将が左右に6体ずつ配置され、他にも伽藍(がらん)神や達磨(だるま)大師・弘法大師像などが安置されています。また海蔵寺には親しまれる昔話が多くあります。
“底脱ノ井”“十六ノ井”などの水にゆかりの伝説を紹介します。
門前にある“底脱ノ井”の伝説
◆桶の底が抜けて悟りを開いたという話が…
山門前の右側に鎌倉十井の一つの「底脱ノ井(そこぬけのい)」があります。
一説には金沢顕時(あきとき=北条実時の子)の妻で、後に出家した無著禅尼(むちゃくぜんに)が、この水をくんだ際、桶の底が脱けると同時に悟りが開けたという伝説が井戸の名前の由来です。
“十六ノ井”の伝説
◆金剛功徳水ともいわれたそうです
境内南の奥の窟(いわや)の中に“十六ノ井”があります。井戸の名前は底に十六の穴があり、清らかな水が湧き出るのにちなみます。
この水で弘法大師が薬を煎じると悪病が治り「金剛功徳水」ともいわれたそうです。その後は忘れられていましたが、開山禅師の夢枕に観音菩薩が立ち、観音様のお告げの通りに、その井戸の水を使用すると多くの人々の病気も治ったということです。
本堂脇の崖下の四つのやぐらと本堂裏の庭園
本堂左側の崖下には四つのやぐらがあります。奥側の三つ目と四つ目は大きなやぐらで、三つ目のやぐら内にある朱塗りの鳥居の奥には高さ50~60㎝の石像があります。翁(おきな)に蛇がとぐろを巻く宇賀神像です。
本堂裏には禅宗風の瀟洒(しょうしゃ)な庭園があります。
風光明媚(めいび)な景勝の谷あいに造営されていて、松竹梅や紅葉の樹、ツツジなど、樹木・草花が四季折々の風情を楽しませてくれます。
かん治さん
「鎌倉検定は1級で お酒は2級を飲んでいまして、プレゼントをいただきますと喜んでサンキュウと言っています」がお決まりの自己紹介。
「鎌倉ガイド」としても活躍する湘南通のアマチュア落語家。