【2025年7月26日号〜家計簿コーチングより】

家計簿の相談ではありませんが、秋山さんにわが家のことを話してみたくなりました。夏期講習代に10万円以上かけているのに全くやる気を見せない息子。毎日イライラしてしまいます。

藤沢市・Yさん
藤沢市・Yさん
秋山友美
秋山友美

お金が無駄だったのではと感じる気持ちから一歩進んでみませんか


そのイライラ、痛いほど分かります。
習い事全般に通じることだと思いますが、高額な費用を払ったのに、本人がやる気を見せないと、
「お金が無駄だったのでは」と感じてしまいますよね。

こうした時、私たちは「サンクコスト効果(埋没費用バイアス)」という心理にとらわれがちです。
すでに支払ったお金の“元を取りたい”気持ちが強くなると、今の状況に対する不満や焦りがさらに大きくなってしまいます。

とはいえ、どれだけ親が準備してお金をかけたとしても、勉強するかどうかは子ども自身の選択です。
大切なのは、「お金をかけたこと」と「子どもが勉強するかどうか」を切り分けること。
感情的に結びつけずに、自分と子どもの間に「心理的な境界線」を引くことで、まず親自身の気持ちを整えたいですね。

その上で、お金の専門家としてお伝えしたいのは、「お金は人生における選択肢を広げる手段だ」ということ。
夏期講習にお金をかけたのは、受験に向け、またその先の将来の子どもの選択肢を広げるための、いわば先行投資といえるでしょう。
そして、それをどう生かすかは、本人が決めること。私たち親は、それを信じて“機会”をつくることが役割なんだと思います。

とはいえ、成果はすぐに出なくてもいい。点数も上がらなくていい。でも、せめて、ほんの少しでも「頑張っている姿」を見せてほしい。
その気持ちは、親が子どもの可能性を信じているからこそ生まれる、まっすぐな愛情だと思います。

だからこそ、「お金を出したのに…」という怒りではなく、「あなたの未来のために、信じて準備したんだよ」という思いを伝えることで、子ども自身が「応援されている」と気づき、少しずつ前を向くきっかけになったらいいですよね。

お金は、未来を縛るためのものではなく、広げるためのもの。
それをどう生かすかは、子ども自身のタイミングに委ねながらも、“頑張る姿を見たい”という親の願いを、静かに、温かく届けていきたいですね。

秋山 友美

・ファイナンシャル・プランナー
・「家計コーチ」代表
・CFP(R)(一財)生涯学習開発財団認定コーチ
藤沢市に開設した「湘南おかねの相談室」を拠点にFP相談・家計診断・パーソナルコーチなどを行い、ライフプラン・住宅取得・資産運用などの講師としても活動中。


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