
【2025年11月8日号 vol.54】
社会人大学 代表コンサルタントの桑名 伸です。
「学校で教えてくれない社会の授業」では、学校では教えてくれない社会の本質を学び、幸せになるための(不幸にならないための)正しい考え方についてお伝えします。
51回目授業からAIについての講義を行っています。
人間の仕事がAIに取って代わられるのか?AIを使ってばかりいると、人間としての能力が落ちてしまうのではないか?というご意見の投稿を受けて授業を行っています。
今までの授業の流れと、掲載した前回の授業を復習した上で、今回の授業を受けてみてください。
《51回授業》AIができること、人間ができること
読者様からの投稿文をAIを使って修正と要約を行った。そして投稿に対しての回答にはAIバージョンと人間桑名バージョンを掲載しました。
51回目の授業>>こちらから
《52回授業》AIとは何かを知る「AIの正体」①
51回授業のAIと私の読者様への回答を比較。AIは優秀な検索・計算システムではあるができることの限界がある。その限界を知ればAIに対して不安になることはない、という内容でした。
52回目の授業>>こちらから
53回目の授業ではAIの正体を知るためにAIの限界について、実例を用いて学んでいきます。
具体的にAIの限界を知ることがAIの正体が何かを理解することになり、AIを不安がることなく利用する側になれるからです。
《快速列車指定席の予約に関してAIの相談してみた》
家族で四国・高松に行くことになりました。その日の夜は、大阪・難波のホテルの宿泊が決まっています。そこで一つ問題が出てきました。
それは、「高松から大阪(岡山経由)までの指定席を、何時の列車で取るべきか」ということです。高松観光が何時に終わるかが読めないため、列車の時間を決めるのが難しい状況です。
高松訪問の8日前時点では、訪問日の分は全て空席がありました。当日、観光後に高松駅で指定席を購入できれば問題はありませんが、もし満席だった場合は大変です。
長時間の立ち席を避けたいと考えているため、確実に座席を確保する必要があります。
そこで私は、AIに相談してみることにしました。仕事の一環という体裁で質問してみました。
《AIに投げた質問》
一週間後の日曜日(現在は8日前の土曜日)なんですけど、高松から岡山まで快速マリンライナーで行きたいと思っています。
指定席を取りたいけれど仕事が終わる時間が流動的で、列車を決めて指定席を取るのは難しいです。指定席が取れず立ち席も嫌なんですね。
何かいい方法ありますか?
高松から岡山まで快速マリンライナーでの移動ですね。お仕事の都合で時間が読めない中で指定席を取るのは確かに難しいですね。
おすすめの方法は、早めに駅に行って空席状況を確認するか、仕事が終わる時間が決まったらすぐに予約することです。
最悪の場合、自由席を利用することも考えておくと良いでしょう。
どうでしょうか?
3時間以上なので立ち席は絶対に避けたいですね。ただ、仕事の途中に駅に確認に行くのも不可能です。
何か良い方法はないですか?
仕事の途中で確認が難しいのですね。それでしたら、ネット予約はいかがでしょうか?
駅のホームページや予約サイトから、仕事の合間にスマホで予約することができます。
これなら、仕事を抜け出す必要もなく、立ち席を避けられるかもしれません。
どうでしょう?
ただ当日の仕事が何時に終わるかわからない状態なんですが、どうしたらいいでしょうか。
仕事の終わる時間が読めない中での予約は難しいですね。
おすすめの方法は、事前にネット予約で指定席を取っておいて、もし仕事が延びて乗れなかった場合は、変更やキャンセルが可能かどうか確認するといいでしょう。
それなら最悪の場合でも、柔軟に対応できます。どう思いますか?
先に予約するのはその時間に乗れればOKですが、乗れないときに満席だらけになったら変更はできないですよね?
そうですね、満席になると変更が難しいので、早めの予約が大事ですね。
ただ、キャンセルが出ることもあるので、こまめな空席確認もおすすめですよ。
柔軟に対応するためには、ネット予約などを活用してみてくださいね。
日後の日曜日の混み状況は予想はつかないですか?
混雑状況は予想が難しいですが、日曜日は一般的に混雑することが多いです。
特に観光シーズンやイベントがある場合は混雑が予想されます。早めの予約や当日の早めの行動が良いでしょう。
部下がこの回答をしてきたら私は「ちゃんと考えているか!?」と叱責しているでしょう。(笑)
心地よい言葉を投げかけてきてくれますが、状況判断やトンチが無いですね。
AIは複雑であってもパターンが決まっているものを計算して取りまとめるのは天才級です。ネット上にある莫大な情報を素早く吟味してくれます。
しかし、人間の日々の行動や思考や諸々の出来事はほとんどネットに上がっていません。
今回の指定席予約に関してもネットには出ていないでしょう。
人間の日常とはこういうものがほとんどなのですが、それをAIは判断できないのです。
私桑名がとった行動は…
一日後の日曜日の夕方に予約サイトで空き状況を確認。一つだけ△印があったが、それ以外は全部〇。
訪問当日に高松と大阪で大きなイベントがないことを確認。同じ日曜日なのだから満席になるはずがない、と判断。これで当日駅で指定席を買えることを確信しました。
もっと簡単な方法もありますね。高松駅に電話して駅員さんに聞いてみる、です。
これはトンチでもなんでもないレベルの話ですがAIにはわからないことなのです。
と、授業を終わらせようとしたときに社内のメンバーから
「このAIトンチできますよ」とGeminiAIを紹介されました。
その内容は確かに驚愕レベルでした。
次回の授業ではGeminiAIのトンチは本物か?について行います。
ここからが54回目、今回の授業になります。
「やはりAIは検索システムに過ぎないな…」「トンチは人間だけが使えるのだ!」と前回の授業を終わろうとしたときに、「このAIトンチできますよ」とGeminiAIを紹介されたのです。(前回使用したのはCopilot)
前回と全く同じ質問をGeminiAIの有料版でやった結果を見せられましたが、「ん〜、なかなかやるな」という内容でした。
まずはGeminiAI有料版の回答をお伝えしましょう。(質問は上の前回の授業を参照)
GeminiAIの回答
お仕事お疲れ様です。
お仕事の終わり時間が読めない中で、確実に座って帰りたいというお気持ち、よくわかります。
快速マリンライナーは自由席だと時間帯によっては混雑しますので、立ち席は避けたいですよね。ご状況に合わせて、いくつか良い方法がありますので、ぜひご検討ください。
一番おすすめの方法:JR西日本のネット予約「e5489」を活用する
現在の状況に最も適しているのが、JR西日本・四国が提供するインターネット予約サービス「e5489(いいごよやく)」の『チケットレス特急券』です。
この方法がなぜおすすめかというと…
・発車直前まで予約・変更が可能
乗車するマリンライナーの発車時刻の2分前まで、スマートフォンやパソコンで何度でも無料で予約の変更ができます。
仕事が終わりそうな時間にあわせて、とりあえず遅めの時間の指定席を予約しておき、仕事が早く終われば、駅に向かう電車の中などで、もっと早い時間のマリンライナーに変更することができます。
・駅で切符を受け取る手間がない
予約した際に送られてくるメールや、予約画面のスクリーンショットがそのまま指定席券の代わりになります。みどりの窓口や券売機に並ぶ必要がありません。
【具体的な手順】
事前にe5489に会員登録をしておきます。(クレジットカードが必要です)
ご都合の良い時に、とりあえず乗れそうな時間のマリンライナーの指定席を「チケットレス特急券」で予約しておきます。
当日、仕事が終わった時点で、実際に乗るマリンライナーの時刻に合わせて、e5489のサイトで予約を変更します。
高松駅の改札はICOCAなどの交通系ICカードや乗車券で通り、マリンライナーに乗車します。
車内で車掌さんから指定席の確認があったら、スマホの予約画面を見せればOKです。
その他の選択肢
1. グリーン車を検討する
マリンライナーの2階席はグリーン車になっており、普通車指定席よりも料金は上がりますが(通常期で一、〇〇〇円)、満席になることは比較的少ないです。
当日、駅の券売機やみどりの窓口で空席があれば購入するという方法です。こちらもe5489で直前まで予約・変更が可能です。
2. 始発駅の高松から乗る利点を活かす
マリンライナーは高松駅が始発ですので、自由席でも早めにホームに並べば座れる可能性は高いです。具体的には、乗りたい列車の一本前のマリンライナーが出発する頃には、次の列車の乗車位置に並んでおくと、かなり高い確率で座ることができます。(約30分前)
ただ、日曜日の夕方〜夜は岡山方面へ戻る人で混雑が予想されるため、絶対に座りたいのであれば、やはり指定席が確実です。
まとめ
お仕事の時間が流動的で、かつ絶対に座りたいというご希望を考えると、『e5489のチケットレス特急券』が最もスマートで確実な方法です。
事前に会員登録だけ済ませておけば、当日は仕事の状況に合わせて柔軟に対応できますので、ぜひ試してみてください。
来週の日曜日、無事に座って快適に岡山まで移動できることを願っています。
どうですか。有料版だからなのかもしれませんが、前回のAIの回答と雲泥の差でこちらのほうが優秀ですね。
GeminiAIのほうは無料版Copilotと違い、私からの再度の質問の必要性がほとんどありません。無料版Copilotへの私からの再度の質問を見てみるとわかるでしょう。
確かにこれと同じ質問を人間に投げた場合、GeminiAIの回答と同じレベルの回答を伝えてくることができる人は少ないかもしれません。
こういう回答を見て、世間の人は「人間の仕事が奪われる」ということを言っているんだな、と思いました。
AIにもトンチがあった…と、人間桑名が認めるか?
答えはNOです。
意地を張っているわけではありません。
AIの正体を知る授業ですからきちんと理由を説明していきます。
①「一週前の同じ曜日の空き情報を調べて確認する」という人間桑名のトンチはGeminiAIにはない
②回答の冒頭の文、「お仕事お疲れ様です。お仕事の終わり時間が読めない中で、確実に座って帰りたいというお気持ち、よくわかります。」と、体(てい)よく労(ねぎら)っている風ですが、確実に座りたいその理由が、「仕事が終わって時間が読めない」であることがおかしい。人間が考えれば「一日の仕事が終わったあとは(疲れているから)、座って帰りたい」が理由である。
GeminiAIのその回答は、私の質問文を加工しただけで人の気持ちを理解しているわけではないこと。
「始発駅の高松駅から乗ると座れる」というAIの回答はトンチではないか?と反論が聞こえてきそうなので、そこも解説をしておきましょう。
YAHOO!知恵袋のサイトで、「高松発のマリンライナーに座れるか?」と入力すると、様々な回答があり、AIの回答内容のほとんどがそこにありました。
これが「AIのトンチ」の正体です。
AIの回答のトンチは実はもともとは「人間のトンチ」なのです。
お伝えしてきたように、ネットに落ちている様々な情報を拾って組み合わせることが素早くできるシステムに過ぎないといえるでしょう。
「過ぎない」というのは「それ以外できない」
つまり、
③AIのトンチはネット上に落ちている人間のトンチに過ぎない。
今回の記事がネットに上がると、「一週間前の同じ曜日を調べてみる」という私の回答が出てくるようになるかもしれませんね。
でもそれは元は「人間桑名のトンチ」なのです。
社会人大学
代表コンサルタント
桑名 伸
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