下痢などの腸のトラブル。
体調が悪いだけ、と見過ごしちゃだめ。
潰瘍性大腸炎の可能性も。
完治せず治療もむずかしく、厚生労働省の指定する難病の一つ。
多くは20代、高齢者の発症もある。
患者は17万人もの数にのぼる。

大腸と肛門をつなぐ直腸から生じた炎症が、口側に向かって広がっていく。
炎症って何?
免疫機能が暴走すること。免疫って何?
体内に侵入してきた異物を排除すること。

考えてみれば不思議なもので、大腸内には腸内細菌が住んでいる。
善玉菌、悪玉菌、日和見菌に大別される約1000種類が住んでいる。
これって完全なる異物。
ところが免疫で排除されずパラサイト(共生)している。
この菌群の絶妙なバランスが腸の免疫を正常に保っている。
潰瘍性大腸炎患者では善玉菌が少ないとの報告も。
大腸末端の直腸で善玉菌を増やすのが大事。
でも、どうやって?
 

口から入った食べ物は胃で砕かれ小腸で吸収される。
残りカスが大腸へ。それが食物繊維。
水溶性の食物繊維は善玉菌のエサになる。
ところが直腸の手前で消えてなくなる。
不溶性の食物繊維は善玉菌のエサにはならず、便として排せつされる。
直腸まで届いて善玉菌が増やせたらどんなに良いか。
それを可能にしたのがレジスタントスターチ。
炊きたてご飯を少し冷ませば増えてくる。
電子レンジがなかった時代、当たり前に食べていた。
さあ召し上がれ。
直腸を健康にする「冷和」ご飯を。

「炭水化物は冷まして食べなさい。」(笠岡誠一著)
「レジスタントスターチは腸の中で大活躍!」より

 

 

151223-文教広報誌BP顔写真

笠岡誠一(かさおか・せいいち)

1967年、広島県生まれ。
文教大学健康栄養学部教授。
管理栄養士。
食品栄養学修士(東京農業大学)。
博士(農学)(愛媛大学)。

山之内製薬(現・アステラス製薬)健康科学研究所研究員、アメリカ国立衛生研究所(NIH)客員研究員を経て現職。専門分野は栄養学、食品化学。レジスタントスターチに早くから注目し、レジスタントスターチを増やした「ハイレジ食」の開発なども行う。小説「きみのハラール、ぼくのハラール」や映画制作「CHO-KATSU」など、多分野で活躍中。