キノコは植物ではありません。菌類です。 体の一部(胞子)が剥がれ落ち、次のキノコが育っていく。 細胞の中に核膜を持つ動物や植 物と同じ高度な生き物(真核生物)。
植物と違うのは光合成をしないこと。 日光からのエネルギーを自分自身の栄養に変える光合成ができないのです。
ではどうやって生きているのか?
土の中の腐敗物や木の栄養分を分解し吸い取っているのです。
他者に依存して生きている「従属栄養生物」。 自分の力でしっかり生きろ! と言うなかれ、ヒトも従属栄養生物。 野菜、果物、 魚、肉、他者が作った栄養をいただいているのです。
キノコには大事な役割がある。 生物界の分解者。植物が土から栄養分を吸い上げやすいよう、 動物の死骸や排泄物を細かく分解する役割を担っている。 植物は生産者、動物は消費者。
菌と言えば腸内細菌。 キノコと大きく違うのは細胞の中に核膜が無い原核生物。分裂して増えていく。 彼らもやはり従属栄養生物。
大腸の中に入ってくる食物繊維や小腸粘膜の剥がれ落ちたものを食べて生きている。 森がキノコを育てるように、あなた自身で立派な腸内細菌を育ててください。
キノコが育つには適度な湿度が大事。 日本はキノコ大国と言っても過言ではない。 沢山の種類があるが全てが英語になってないことからも分かります。
存分にキノコを味わってください。
笠岡誠一(かさおか・せいいち)
1967年、広島県生まれ。
文教大学健康栄養学部教授。
管理栄養士。
食品栄養学修士(東京農業大学)。
博士(農学)(愛媛大学)。
山之内製薬(現・アステラス製薬)健康科学研究所研究員、アメリカ国立衛生研究所(NIH)客員研究員を経て現職。専門分野は栄養学、食品化学。レジスタントスターチに早くから注目し、レジスタントスターチを増やした「ハイレジ食」の開発なども行う。小説「きみのハラール、ぼくのハラール」や映画制作「CHO-KATSU」など、多分野で活躍中。