バランスの良い食事とは、ハンバーグや餃子などおかず(主菜)だけでなく、ご飯(主食)や野菜(副菜)など偏りなく食べましょう、ということ。
バランスが崩れた時に不足しがちなビタミンやミネラルを補う食品をバランス栄養食品と呼んだり、また主要な栄養素(タンパク質、脂質、炭水化物)の比率が良い食品を指す場合もある。

完全栄養食品も増えている。
完全とは、欠けることや足りないことのない状態、必要な条件が全てそろっていること。
それだけ食べれば大丈夫といった食品のこと。
持ち運べて常温で保存可能なら応用範囲が広がります。
災害時の食事としてストックしたり、狭い空間で素早く食べられると宇宙食に使える可能
性もあります。

そんな食品を摂取する目的は健康でいたいから。
では、健康とは? WHO(世界保健機関)が定義している。
「健康とは、肉体的、精神的および社会的に良好な状態」。

「ちょっとしょっぱいね」「薄味かなぁ」など試行錯誤の家庭での料理。
お店の味としては完全とは言えない。
でも、「お! 今日の料理はおいしいね」など会話しながら食べるのは楽しい時間。
精神的には健康です。

なんだか憎めない、そういう魅力的な人は大きな特徴があるはず。
欠けているものを見ると補いたくなるのは人情。
補い合いながら完全を目指す、その過程が社会的には健康なのかもしれません。

 

151223-文教広報誌BP顔写真

笠岡誠一(かさおか・せいいち)

1967年、広島県生まれ。
文教大学健康栄養学部教授。
管理栄養士。
食品栄養学修士(東京農業大学)。
博士(農学)(愛媛大学)。

山之内製薬(現・アステラス製薬)健康科学研究所研究員、アメリカ国立衛生研究所(NIH)客員研究員を経て現職。専門分野は栄養学、食品化学。レジスタントスターチに早くから注目し、レジスタントスターチを増やした「ハイレジ食」の開発なども行う。小説「きみのハラール、ぼくのハラール」や映画制作「CHO-KATSU」など、多分野で活躍中。