【2020年10月24日号】薄めたスポーツドリンク

市販のスポーツドリンクは濃いと感じる方も。
だからと言って薄めて飲むのはお勧めできません。
製造会社は研究を重ね商品を完成させているのです。

水分の補給だけじゃない、汗で失われた塩分の補給の意味も。
じゃあ、って自分で手作り。
ペットボトルに塩を入れて良く振って出来上がったのは単なる塩水。
入れた分の塩分が体に吸収されるのかはいささか疑問。

塩分の吸収は胃の下の小腸です。
濃度の濃い塩水だと吸収しにくい。
浸透圧が高いから。
ナメクジに塩をかけると縮んでしまう。
体の中の塩分より、体の外の塩分が濃くなってナメクジから水が絞り出された結果です。
体の外の浸透圧が高くなったからなのです。
腸の中の濃い塩分が体の中から水分を絞りだす。
水分補給のつもりが、体から水分を抜き出すことになるのです。

体内の塩分濃度と同じにすればって、そう単純じゃないんです。
汗にはカルシムや鉄も流れ出ていく。
糖分も必要。
つまり、失った成分それぞれを体液に近い濃度にする微妙な調整が必要なんです。
こうして出来上がったのが体液と同じ浸透圧のアイソトニック飲料。
浸透圧を若干下げたハイポトニック飲料は主に水分の補給に効果的。

スポーツドリンクを薄めるのは製造会社に失礼なのです。
何度も味見をして作った味噌汁に、飲みもしないで塩を振られちゃったぁ、ていう感じですかね。

 

 

151223-文教広報誌BP顔写真

笠岡誠一(かさおか・せいいち)

1967年、広島県生まれ。
文教大学健康栄養学部教授。
管理栄養士。
食品栄養学修士(東京農業大学)。
博士(農学)(愛媛大学)。


山之内製薬(現・アステラス製薬)健康科学研究所研究員、アメリカ国立衛生研究所(NIH)客員研究員を経て現職。専門分野は栄養学、食品化学。レジスタントスターチに早くから注目し、レジスタントスターチを増やした「ハイレジ食」の開発なども行う。小説「きみのハラール、ぼくのハラール」や映画制作「CHO-KATSU」など、多分野で活躍中。

 

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