バナナは甘くて美味しい果物です。
農林水産省の定義で「2年以上の栽培が必要な大きな植物の果実」であり、
文部科学省の食品成分表でも果物。
ところが、最近登場のバナナは緑色。

300種類もあるバナナ、大きく分けて生食用と料理用。
原理的には生食用は黄色、料理用は緑色。
緑のバナナが時間が経って熟していくと黄色くなります。
甘さのないデンプンが分解し、甘さのある糖分に変化します。

熟すとは果物などが十分に生育し食べごろになること。
食べ物を体の中で熟す(こなす)と読むことからも納得できます。


熟す前の段階、十分に成長していない段階を青いと言ったりします。
その理由。 江戸時代には丁髷(ちょんまげ)。
一人前になった男性は、前髪を剃(そ)って残りの紙を後ろに結った。
剃り跡が青く見えた。まだまだ青いなぁと。
だから「青」は未熟さを表す色になったとか。

ホノルル市と姉妹都市の茅ヶ崎市。
南国ホノルルのように黄色いパパイヤを育てたい。
黄色は無理でも青パパイヤならできるかも。
この青は、未熟の青ではありません。
充分に成長した証の青。
江戸時代からさかのぼって平安時代。
成長した葉の緑色を「青い」と呼んでいたらしい。

茅ヶ崎市で青パパイヤを育て始めた方がいます。
昨年から栽培を始め、今年も栽培しています。
今年の夏には目にもまぶしい青々とした緑色の青パパイヤが見られることでしょう。

 

 

151223-文教広報誌BP顔写真

笠岡誠一(かさおか・せいいち)

1967年、広島県生まれ。
文教大学健康栄養学部教授。
管理栄養士。
食品栄養学修士(東京農業大学)。
博士(農学)(愛媛大学)。

山之内製薬(現・アステラス製薬)健康科学研究所研究員、アメリカ国立衛生研究所(NIH)客員研究員を経て現職。専門分野は栄養学、食品化学。レジスタントスターチに早くから注目し、レジスタントスターチを増やした「ハイレジ食」の開発なども行う。小説「きみのハラール、ぼくのハラール」や映画制作「CHO-KATSU」など、多分野で活躍中。