アメリカでトマトサラダを注文したらお皿に乗って出てきたのはトマトのスライスだけ。
サラダって何? の始まりでした。

広辞苑によれば「生野菜を主材料として、場合によっては肉・魚介・卵などを加えドレッシングやマヨネーズなどであえた料理」。
トマトは生野菜、スライスだけでもサラダ。
間違いではないのですが…。

とするならばマカロニサラダは?
キュウリやニンジン入っているけど主材料はマカロニ。
ポテトサラダは??
どう見てもポテトが主材料。
やっぱりサラダはレタスにトマト。
料理は加熱が当たり前だった明治時代、流通技術が発達し、今のサラダ像が完成。

一方ギリシャ時代、ハーブ(野草)に塩(ソルト、 salt)を振ったものをサラダと呼んだとの説も。
塩以外にオリーブオイルや酢を使うのもありに。
こうしてドレッシングが誕生したのです。日本では大正時代、冷えても濁らない工夫がされたサラダ油が誕生。
文字通り生野菜にかける油として開発。
今ではノンオイルドレッシングなどヘルシーさを強化する商品もたくさんあります。

ドレッシングの進化系がマヨネーズ。
マヨネーズを多用するマヨラーは全ての料理がサラダになるの?
唐揚げサラダの誕生か? 
「サラダ=ヘルシー」のイメージはしっかり定着。
鶏肉部位の中では低評価だった胸肉もチキンサラダと名前を変えて人気者に。
サラダの進化は続きます。

  

 

151223-文教広報誌BP顔写真

笠岡誠一(かさおか・せいいち)

1967年、広島県生まれ。
文教大学健康栄養学部教授。
管理栄養士。
食品栄養学修士(東京農業大学)。
博士(農学)(愛媛大学)。

山之内製薬(現・アステラス製薬)健康科学研究所研究員、アメリカ国立衛生研究所(NIH)客員研究員を経て現職。専門分野は栄養学、食品化学。レジスタントスターチに早くから注目し、レジスタントスターチを増やした「ハイレジ食」の開発なども行う。小説「きみのハラール、ぼくのハラール」や映画制作「CHO-KATSU」など、多分野で活躍中。