藤沢消防署本町出張所の脇を入ると、浄土宗の八王山摂取院常光寺があります。
創立は元亀3年(1572)で本尊は阿弥陀如来、開山は明蓮社光誉西穏上人です。

本堂左脇に市有形民俗文化財の「庚申塔(こうしんとう)」が2基あり、万治2年(1659)の銘の塔は、庚申講中が建立の浄土宗系のものとしては貴重です。
寛文9年(1669)銘のものは笠石が軽快な感じを与えます。

常光寺
藤沢市本町4-5-21

常光寺の山門
常光寺の山門

 

 

野口米次郎辞世碑があります

碑にはYone Noguchiと記されています
Yone Noguchiの碑
Yone Noguchiの碑

英文学者で詩人の「野口米次郎(1875~1947)」は明治8年愛知県に生まれ、23年単身渡米、新聞記者となり、のち英国に渡り、37年日露戦争の報道のため帰国、兄が住職を務める常光寺や鎌倉円覚寺に居住しています。
「ヨネ・ノグチ」の名で英米詩壇に親しまれて、帰国後も浮世絵をはじめ日本の文化、文芸を世界に紹介。
彫刻家ノグチ・イサムの父で、当山24世祐眞上人の実弟です。

 

市指定天然記念物の樹林と弁慶塚

カヤの木は推定樹齢約300年になる巨木
裏山の弁慶塚
裏山の弁慶塚

境内に続く樹林約7900㎡は市指定天然記念物となっています。
境内東側の墓地にあるカヤの木は「かながわの名木100選」に選定され、高さ約25mにもなります。

裏山の弁慶塚は、主君源義経を祀(まつ)る白旗神社と向き合うように鎮座し、覆いの小屋で大切に祀られ、本堂前には藤沢七福神の福禄寿を祀っています。

 

落語「福禄寿」

商人の福徳屋の倅(せがれ)で、後継ぎの長男・禄太郎は道楽で店を倒産させ、分家した次男・福次郎は地道な商売で店を繁盛させます。

年の暮れに親類一同が集まるが長男の姿はなく、母親が部屋に戻ると長男が現れて借金を頼みます。
それを知った次男は知らぬふりして母親に金と酒を渡します。
兄は母親から金を借り、酒を飲みすぎ、転んだ拍子に袱紗(ふくさ)に入った金を落とします。

これを拾った弟が
「人には分限があり、兄さんのように欲しいと思って手に入れてもお金の方から出ていき、お金はまた僕の所に戻りました。
一升袋には一升以上は入らない。
兄さんは小さい袋なのに大きな事ばかりするから、身が持たなくなります」
と母親に話します。

この話を知った兄は悟り、後に北海道に渡り亀田村を開墾し成功したという人情話です。
(※亀は万年の長寿です)

 

 

かん治さん

「鎌倉検定は1級で
 お酒は2級を飲んでいまして、
 プレゼントをいただきますと喜んでサンキュウと言っています」
がお決まりの自己紹介。
「鎌倉ガイド」としても活躍する湘南通のアマチュア落語家。