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社会人大学 代表コンサルタントの桑名 伸です。

学校で教えてくれない 社会の授業では、社会の本質を学び、幸せになるための (不幸にならないための)正しい考え方についてお伝えします。

今回の授業は前号の
「出世はするべきか?現代の割に合わない出世とは」の授業の答えをお伝えします。

 現代社会における大きな問題でもあるのでしっかり勉強していきましょう。

〈前号の相談内容〉

投稿ネーム:考える葦さん 35歳 男性

最近、身近で気になることがあります。

昔は「出世すること」は栄誉あることだと思われていましたが、知人友人の話を聞くと、今はそうでもないみたいです。
「今より責任が重くなるから部長になるより課長のままがいい」「5千円しか昇給しないからチームリーダになりたくない」など。
役職を上がっていくのは良いことだと思っていたのですが、責任が重くなるのを嫌がる風潮があるようです。

出世するのと、現状維持するのとではどちらがメリットがあるのでしょうか。

前回のおさらいです。

「出世」とは社会的に高い身分・地位を得ることですが、最近では出世、つまり役職が上がっても大変なだけで、給料が多少上がっても割に合わない、メリットよりもリスクが大きい…、という受け止め方をされる人が多くなってきています。

当然喜ばしい出世もありますが、喜ばしくない「割に合わない」出世が最近は増えてきているので、このような質問を送っていただいたのだと思います。
そのバックボーンは、出世に対する意識が、昔は「偉くなる」、だったものが、今は「役割」という意味への変化があると思います。

問題なのは、出世… つまり役職に就くことが「業務の押し付け」になる場合です。
その場合は消去法で選ばれることが多い傾向があります。「●●君であれば何とかなる」という感じです。

  

前向きな期待感で任命されるというよりは「無難なのは誰だ?」 という発想なので選ばれる方もたまったものじゃありません。
期待感ではなく消去法で「無難な人」を選ぶわけですから報酬も大して上がらないのです。これが「割に合わない」を生み出しているのです。

割の合わない「押しつけ」の要因の多くは人材不足です。
2つの人材不足が存在します。

一つは本当に頭数(あたまかず)が少ない。

もう一つは役職者としての能力を持っている人が少ない、もしくはいない。

この両方が重なっていることがほとんどです。
たちが悪いのはこれらがぐるぐる回り悪循環となっていることです。
順を追うとこんな感じです。(前号紹介内容と同じです)

このように負の連鎖になっていきます。
これが「押しつけ」の発生する大きな要因になります。

どういう会社がこうなりやすいか。

すべてに当てはまるわけではないですが相対的に多い特徴として次のような会社になります。

まだまだありますが、代表的なものとしてこんな感じです。

■給与水準が低いは言うまでもないですね。

社員にとってリスクリワード(費用対効果のリワード)効果が少ないわけです。能力を安価で会社に提供していることになります。

■役割分担が不明確は「課長(役職)なんだから…」と、責任の押し付け先として明確なだけで、その役職の責任と権限が良く分からない状態です。役職として何をするべきなのかが明確になっていない状態です。

何をやるべきか、どこまで責任があるのかがわからない状態で問題が起きた時に責任を負わされるのは誰でも嫌でしょう。

■教育など社内システムがないは、社員がなかなか育たない中で、その上長(役職者)がすべて面倒を見なければいけません。

その役職者への教育なんてもってのほか、新人教育もままならない状態。

育っていない役職者がきちんと教育を受けずに育っていない部下の面倒を見るわけですから大変な負荷になります。組織として機能しない可能性が大です。

◆急成長しているは少し角度が違います。
急成長しているので社員のスキルが追い付かない状態で組織が拡大していきます。
社員として次のどちらなのかを判断しなければいけません。

・急拡大しているにもかかわらず給料(ボーナス)が低水準のまま
・急拡大しているので給与が上がる(ボーナス支給大)

これを確認しなければいけません。

後者であれば役職が「押しつけ」であっても割に合わないレベルは低くなります。
また、拡大中の中で役職者として成長していけば幹部になることもありますし、さらに報酬が上がっていくことになります。
そして「すごく割の合う状態」になる可能性があるのです。

前者の急拡大しているのに給料が安い場合はどうするか。
まずは割が合わなくても少し頑張ってみてください。
急成長途中の会社はさまざまな業務が多数発生し、教育や役割分担など社内のシステムだけではなく、給料の設定、つまり評価システムを作る時間さえない場合もあります。
割に合わない状態で頑張った社員(特に役職者)は、評価システムが整ってきたときに大きな評価になる場合が多いです。

それでも給料が安い場合はどうするか。

その場合は転職してください。
でも決して損はしていません。急成長している中で仕事、特に役職者としての実力をつけられたはずです。
その実力を持ってどこにでも転職ができるでしょう。
能力を持った役職者は市場に少ないので、バタバタの中の大変な業務は「お金を稼ぐための訓練ができた」という考え方ととらえることもできますね。

これは、以前の授業でお伝えした「仕事の筋肉」です。
若干なりともお金をもらって職業訓練をしていると思えば得した気分にもなります(笑)。

 

とにかく急成長している会社というのはなかなか出合えるものではありません。
目の前の「急成長バタバタ」は、やる気のある人にとっては最高のOJT(業務実施訓練)になります。

バタバタした状態
→仕事の筋肉増大(スキルアップ)
→給与アップ、もしくはキャリアアップ転職

バタバタした仕事が最終的には「リワード・効果」に変わりました。
結果的に「割が合う」ので、急成長企業の中では大変だけれども頑張ってやってみることが正解になるのです。

急成長している会社での答えは先ほどお伝えした通りです。
急成長していない会社の場合はどうでしょう。
答えには2つのパターンがあります。

〈あなたが仕事で成長しよう、収入を上げようと思っている場合〉

これは割が合わなくても「出世」を受け入れるべきです。会社が成長もしていなくても出世してみてください。
よく考えてみると消去法で選ばれたとしても「選ばれた人」に違いはありません。他の人は選ばれていません。他人の上に立つということの訓練を「転職先で稼ぐ」ことを考えて頑張ればよいのです。

チャンスはそんなに多くやってきません。若干なりとも給料は上がり、お金をもらいながらスキルアップのための訓練ができるわけです。
スキルアップ後は割に合う職場に転職をすればよいのです。これが成長したい人への答えです。

ただし、パワハラまがいに「おまえ店長だろ!?」的な、訓練が全くできない環境だと気づいた場合は、すぐに退職して逃げることも大事です。

〈仕事で成長はそこまでしなくてもよいと考えている人の場合〉

出世を断り、今の仕事を頑張ることを続けてください。
しかし「そこまで成長しなくてもよい」という人に社会の授業として伝えたいことがあります。

今の生活環境と将来の生活環境は大きく変わるということです。
今、想像している「未来の生活環境」は想像と全く違った状態になります。

私は就活生や新人社会人に次の質問をします。

と聞くと、

ほとんどの人がこう答えます。

そして次に

と、質問をします。

すると、

ほぼ、この答えが返ってきます。
あまり頑張らなくてもそれなりであればいい、ワークライフバランスが大切…、わかりました。

その考え方で仕事をしていくとどうなるかを伝えましょう。

皆さんの周りで「それなりの生活」をしている人は多数いらっしゃいます。その人たちのほとんどが一生懸命働いています。スマートに仕事をこなしているように見える人も見えないところで熱心に仕事をしています。
仕事を楽しんでいるかどうかは別です。多少嫌な事でも熱心にやらないと「それなり」になれない世の中なのです。

まずは現実を知りましょう。

将来マイホームが欲しい人はマイホームがいくらなのかを知ってください。毎月住宅ローンをいくら払うのかも。若い方は自分に今までいくらかかっているのか調べてください。驚くほどの金額を親御さんは支払っています。

「子供が欲しい」人は、

が必要になります。

マイホームを持って子供を持つのが「それなりの生活」であれば、「それなり」の金額が自分の想像以上であることに気づくと思います。

まずは自分の未来の想像をするだけでなく「お金」のことも同時に勉強してください。
そして「それなりの仕事」という考え方では稼げないことを若いうちに気づくことが重要だと思います。

収入は「手取り」で判断してください。

  

いま日本では少子高齢化と、行き過ぎた「ワークライフバランス」志向で会社の運営環境が非常に厳しくなってきています。
「学校で教えてくれない社会の授業」ではこれらの問題に対して解決方法をお伝えしていく予定です。

社会人大学
代表コンサルタント
      桑名 伸

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