忘年会の季節です。
飲み過ぎればアルコールを分解する肝臓にはダメージが。
アルコールはわれわれの敵なのでしょうか?

アルコールは気持ちをリラックスさせます。
理性的に振る舞う脳の働きを弱め、緊張感をやわらげます。
疲れた筋肉をもみほぐすように。
ワインやビールの香りにも同様な効果があるとのこと。
つまるところ、「適度に」ですね。

それができないから困っている。
そんな方に提案です。
まずは乾杯でビール。
缶ビール1本分のアルコールを分解するのに約2時間。
1次会の終わりまでは酔えているはず。
ならば2杯目からはノンアルコール・ビール。
味も香りもビールにそっくり。
錯覚で酔う人も。

ノンアルコールの酎ハイや梅酒などバリエーションも豊富です。
カロリーゼロのノンアルコール・ビールも登場。
飲んだり食べたりの罪悪感(ギルト)をなかったこと(フリー)にしてくれるギルトフリーな商品なのだとか。

アルコールを作り出すのは酵母(イースト)です。
彼ら彼女たちも生きている。
デンプンをエサに生きている。
食べたからには排泄もします。
出てきたものがアルコール。
米を与えれば日本酒に。ブドウを与えればワインに。
乳酸菌やビフィズス菌も仲間です。
 

これら微生物のおかげで作られるのが発酵食品。
そんな微生物の働きに感謝する忘年会も「あり」かもですね。

 

 

151223-文教広報誌BP顔写真

笠岡誠一(かさおか・せいいち)

1967年、広島県生まれ。
文教大学健康栄養学部教授。
管理栄養士。
食品栄養学修士(東京農業大学)。
博士(農学)(愛媛大学)。


山之内製薬(現・アステラス製薬)健康科学研究所研究員、アメリカ国立衛生研究所(NIH)客員研究員を経て現職。専門分野は栄養学、食品化学。レジスタントスターチに早くから注目し、レジスタントスターチを増やした「ハイレジ食」の開発なども行う。小説「きみのハラール、ぼくのハラール」や映画制作「CHO-KATSU」など、多分野で活躍中。