ダイエットする時には摂取エネルギーを減らすことに目が行きがち。
でも消費エネルギーを増やすことが効果的かも。運動だけではありません。
食べる物を変えることでエネルギーの消費を増やすことは可能です。

「食事誘発性熱産生」なる言葉がある。食べた物を分解したり吸収したりにも当然エネルギーを使ってる。タンパク質だけを食べた場合、食べたエネルギー(カロリー)のなんと約30%分が使われる。糖質だけなら6%、脂質だけなら4%分が使われる。それらが混ざった普通の食事では約10%と言われてる。

食べ方を変えると消費エネルギーを増やすことができる。あまり噛(か)まずに食べた場合に比べて、ゆっくり噛むとエネルギーの消費が10倍以上増えたとの報告もある。
猛暑で食欲も低下ぎみ。食べる量が減れば活動する気力も失せて、活動量も減ってくる。良質なタンパク質を中心とした食事をゆっくりとしっかりと噛んで味わいましょう。運動もして筋肉量が増えれば、基礎代謝も増加してエネルギーの消費につながります。

体を動かさずにエネルギーの消費を増やしたい? いい方法があります。「熟考すること」です。脳はかなりのエネルギーを使ってる。体全体が消費するエネルギーの約20%分も使ってる。

ここで出題! さっき食べた食事によって消費されたエネルギー値(カロリー)を計算してみよう!

 (文:笠岡誠一)


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笠岡誠一(かさおか・せいいち)

1967年、広島県生まれ。
文教大学健康栄養学部教授。
管理栄養士。
食品栄養学修士(東京農業大学)。
博士(農学)(愛媛大学)。

山之内製薬(現・アステラス製薬)健康科学研究所研究員、アメリカ国立衛生研究所(NIH)客員研究員を経て現職。専門分野は栄養学、食品化学。レジスタントスターチに早くから注目し、レジスタントスターチを増やした「ハイレジ食」の開発なども行う。小説「きみのハラール、ぼくのハラール」や映画制作「CHO-KATSU」など、多分野で活躍中。