「えのすい」が教えてくれる
相模湾の食べられる魚のお話
秋風に思い出すのはゴンズイ鍋。
学園祭で展示する生き物を採集するために、夜の海へ向かった。
磯で網を、堤防で竿を振るい、風が冷たくなってきた秋の海へ。
大量に獲(と)れるのが夜行性のゴンズイ。
海に棲(す)むナマズの仲間で、目立つ黄色いラインと口ひげがその特徴。
やっかいなのは、背びれと胸びれにある鋭い毒棘(どくきょく)で、まともに刺されたらジンジン響く強烈な痛さに、病院送りとなることも。
相模湾大水槽でぜひその顔を覚えてほしい。
体から出す“フェロモン”という匂いで結びつき、“ゴンズイ玉”と呼ばれる塊でいるから、一度にたくさん獲れる。
余ったゴンズイは、毒棘がある部分を落として、みそ仕立ての鍋で食べるのが恒例行事。
口どけ良いクリーミーな身と、温かい出し汁が、冷えた体と寝ぼけた頭に染み渡る。
意外なうまさのゴンズイ鍋は、清秋の味がした。
(新江ノ島水族館 えのすいトリーター 岩崎 猛朗)
新江ノ島水族館
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