立春を過ぎ、寒さも和らいできました。
フキノトウの天ぷら、美味しいですね。
その季節ならではの食材を楽しめるのは、旬があるから。
つくし、ゼンマイなどなど。
土の中で寒さに耐え、気温の上昇とともに芽を出す。
そのために栄養分をしっかり蓄えていたんですね。
生命力に満ち満ちた状態。
 

収穫する季節によって栄養価も違うはず?
 

有名なのは冬が旬のほうれん草。
夏採りだとビタミンCは20mg(/100g)ですが、冬採りはなんと60mg。
3倍も違うんです。
旬の食材って、美味しいし栄養価も高いんですね。
できるだけ新鮮なうちに、地産地消でいただきたいですね。

春告魚とはニシンです。
おせち料理の定番、カズノコの親御さん。
残念ながら、有名なのは身欠きニシンくらいでしょうか。
ニシン科の仲間、イワシは体に良いとされる脂肪の一種、EPAやDHAで有名です当然、ニシンにも豊富です。

北海道では春になるとニシンが産卵のために沿岸に大群でやってきます。
産卵のため海の色が白くなる現象、群来(くき)が確認されます。
卵や白子をたっぷりと含んだニシン。
食べる側のヒトにとっては「美味しい」時期です。
食べられる側のニシンにとっては「働き盛り」の時期なのです。
それが旬。

“もう旬を過ぎちゃったよ”と言わないでください。
旬は一回かぎりではありません。
野菜や魚のように、今年もまた旬が来るはずです。

 

 

151223-文教広報誌BP顔写真

笠岡誠一(かさおか・せいいち)

1967年、広島県生まれ。
文教大学健康栄養学部教授。
管理栄養士。
食品栄養学修士(東京農業大学)。
博士(農学)(愛媛大学)。


山之内製薬(現・アステラス製薬)健康科学研究所研究員、アメリカ国立衛生研究所(NIH)客員研究員を経て現職。専門分野は栄養学、食品化学。レジスタントスターチに早くから注目し、レジスタントスターチを増やした「ハイレジ食」の開発なども行う。小説「きみのハラール、ぼくのハラール」や映画制作「CHO-KATSU」など、多分野で活躍中。