父の遺品を整理していたら自筆の遺言書が出てきて、内容を見てみると財産をすべて兄に相続させるというものでした。でも作られた日付が亡くなる数カ月前で、物忘れがひどくなっているころでした。このような時に作られた遺言書も有効なのか疑問です。 (茅ヶ崎市 Wさん)

作成当時、お父さまが「遺言能力」を有していたか諸事情を総合的に考慮し、最終的に裁判所が判断

遺言の有効性、すなわちお父さまが遺言書を作成した当時「遺言能力」を有していたかどうかが問題となります。

遺言能力とは、遺言の内容およびその法律効果を理解した上で遺言する能力のことをいいます。遺言は15歳から可能なので、通常の財産処分行為に必要な行為能力よりも低い能力で足りると考えられてきました。医学的に認知症の診断がされていたとしても、それだけで遺言能力無しとされるわけではありません。

能力の有無については、諸事情を総合的に考慮して判断していくのですが、具体的には①遺言者の精神上の障害の有無、内容・程度②遺言の内容(複雑か単純か)③遺言者と遺産を譲り受ける者との関係性(面倒をよくみていた、逆に虐待があった等)④どうして遺言を書くに至ったか(誰が書こうと言い出したのか)といった事情を丹念に考察し、最終的には裁判所が判断していきます。

まずは、どうしてそのような遺言書が書かれたのか、ご兄弟やご親族の話をよく聞いてみるとよろしいかと思います。

 

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