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ハンバーグは牛のひき肉にみじん切りの玉ネギ、パン粉を加え、溶き卵とともに練り混ぜ加熱した料理。ドイツのハンブルグ地方で生まれたのでハンブルグ風ステーキとなりハンバーグになった。もともとは硬い食感の生の馬肉をミンチ状にして食べていたとか。今のユッケのようなものだ。

牛肉を使っているので肉料理。ヘルシーなイメージとはほど遠い。しかしヘルシーだとのうわさがある。ヘルシーって何だ、と考えると、多くの人はカロリー(エネルギー値)が低いと答える。牛肉の量を減らし野菜を多く加えればカロリーは低くなる。

だけれども子供の舌は敏感だ。容易にはだまされない。こっそり忍ばせた野菜のみじん切りを感知してしまう。子供にとっては大好きなハンバーグだから仕方ない。SDGsで牛肉の代わりに大豆タンパク質を使っても分かってしまう。味見する大人には分からない微妙な舌触りを感知してしまう。

カロリーが低いとヘルシーとは限らない。食べたカロリーがそのまま体に蓄積されるわけではない。食べたものを消化吸収するにはかなりのエネルギーを使う。食事誘発性熱産生だ。牛肉ステーキを食べるのにはかみ砕く必要がある。結構なエネルギーを使っている。一方のハンバーグは容易にかみ砕け、飲み込むことができる。体への負担が少なくエネルギーをあまり使わず消化できる。

食べ物って、奥が深いものですね。

※「食のトビラ」は今回で終わります


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笠岡誠一(かさおか・せいいち)

1967年、広島県生まれ。
文教大学健康栄養学部教授。
管理栄養士。
食品栄養学修士(東京農業大学)。
博士(農学)(愛媛大学)。

山之内製薬(現・アステラス製薬)健康科学研究所研究員、アメリカ国立衛生研究所(NIH)客員研究員を経て現職。専門分野は栄養学、食品化学。レジスタントスターチに早くから注目し、レジスタントスターチを増やした「ハイレジ食」の開発なども行う。小説「きみのハラール、ぼくのハラール」や映画制作「CHO-KATSU」など、多分野で活躍中。