私が死んだ後、妻の面倒を子どもがきちんとみてくれるか心配なので、長男に全財産を譲るので妻の面倒を見るようにという遺言を残そうかと思っています。妻も長女(他に相続人はいません)も賛成してくれていますが、大丈夫でしょうか。(鎌倉市 男性 Iさん)

譲り受けた財産の限度で、具体的にどのような面倒を見てほしいのか親族間で話し合いを

ご長男に妻の扶養の義務を負わせ、全財産を遺贈するというもので、このような遺言を「負担付遺贈」といいます。

ご心配なのは、このような遺言を残したとして、果たして長男が妻の面倒を「きちんと」見てくれるのか? ということだと思います。相続人は、負担付遺贈を受けた者(受遺者といいます)がその負担した義務を履行しないときは、履行を催告することができますので、妻や長女から長男に、きちんと面倒を見るよう求めることができますし、履行がないときには、遺言の取り消しを裁判所に請求することもできます(民法1027条)。

問題は、一応面倒は見ているが、それが十分なものとは思えない場合ですよね。「きちんと面倒を見る」ということがどの程度のものを指すのかは難しい判断になるでしょう。受遺者の責任は、遺贈の目的物の価格を超えない限度となりますので(民法1002条)、金銭的なことでいえば、譲り受けた財産の限度で面倒を見ればいいことになります。

具体的にどのような面倒を見てほしいのか、事前に親族間で話し合っておかれると、後々のトラブルのリスクは減らせるのではないでしょうか。

 

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