相模湾大水槽を悠々と泳ぎ、その大きさでひときわ目を引くスギは、見慣れない姿故に、お客さまからご質問いただくこともしばしば。実はコバンザメにとても近い魚で、和歌山県の一部では「コバザメノコバンノトレタウオ」と呼ばれているそう。平べったい頭や小さな眼、確かにコバンザメの雰囲気を感じます。
成長が早いことから沖縄や東南アジアでは養殖もされ、クロカンパチの商品名で流通していたことも。なぜカンパチ?と怪訝(けげん)に感じたのですが、刺身にしてみると納得。桃色がかった身や残された銀皮の光沢はカンパチのよう。一方で口にしてみると味は本家カンパチよりもっと濃厚で、以前紹介した元祖コバンザメの脂の乗りを彷彿(ほうふつ)とする味わいです。
相模湾では珍しい魚ですが、定置網で漁獲されることもあるそうです。運良く魚屋さんやお寿司屋さんで見かけた際は、挑戦してみてください。
(新江ノ島水族館 えのすいトリーター 八巻 鮎太)
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